[無痛分娩②]妊娠中の娘( 31 歳) がいます。初産で無痛分 娩(ぶんべん)を希望して いるのですが、さまざま なリスクも聞こえてきま す。避けた方がよいです か。( 58 歳・主婦)

 前回に引き続き、無痛分娩・和痛分娩についてお話します。
 帝王切開の多い欧米諸国に比べ、日本では昔から
〝お産の痛みには耐えるもの〟という考えが根付いています。
無痛分娩(硬膜外麻酔)は心臓に病気があり、陣痛が心臓に
負担を掛けないようにするためなど、医学的リスクがある場合
に用いられてきましたが、今では自分で選べる時代になりま
した。だからこそ、慎重に考えてほしいのです。
 人によりますが、一般的に出産は14時間前後かかるといわれ
ており硬膜外麻酔の場合、その間ずっと麻酔管理をしなけれ
ばなりません。産婦人科医のみでの対応には限界があります。
麻酔科専門医が対応してくれる総合病院が望ましいでしょう。
 当院では「和痛分娩」を採用しています。吸入マスクから
酸素と笑気ガスの混合ガスを吸引することで、痛みを和らげる
方法です。少しでもお産の痛みを感じるからこそ、生まれて
きたわが子への愛情も一段と湧いてくるのではないでしょうか。