[抗リン脂質抗体症候群] 今までに2回流産し、かかりつけの医師から、抗リン脂質抗体症候群の検査を勧められました。どんな病気ですか。(32歳・主婦)

妊娠しても、流産や死産を繰り返す状態を不育症といいます。その原因として今までは染色体異常や感染症などが挙げられてきましたが、最近、抗リン脂質抗体症候群も不育症の原因の一つであることが明らかになってきました。
抗リン脂質抗体は、血を固めてしまう特徴があり、血栓症を起こします。血栓ができることで血液循環が阻害され、胎児に血液や栄養が届かずに流産・死産のリスクが高まるというわけです。治療しておかないと妊娠に悪影響を及ぼし、流産を繰り返す事態が起きかねません。
抗リン脂質抗体症候群かどうかは、血液検査で診断できます。「ループスアンチコアグラント抗体」「抗カルジオリピン抗体」などを測定して陽性かどうかを調べるのです。抗体が陽性の場合、血栓ができないように、抗凝固作用を持つ低容量アスピリンやヘパリンなどを用いた薬物療法で治療します。妊娠前から使うこともあれば、妊娠が分かってから使うことも。漢方薬を希望する人には、柴苓湯(さいれいとう)などの処方という選択肢もあります。
これまで動脈(または静脈)血栓症が確認された人や、妊娠合併症で流産を繰り返す人、死産・早産経験がある人は、次の妊娠に備えるという意味でも一度調べてもらっ た方がよいでしょう